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ターンアラウンドマネージャー 2007年12月号に掲載されました。
株式会社ジーケーパートナーズ東京支社開設記念セミナー
医療再生のポイントは医療施策の理解
高齢化が医療サービスのニーズを押し上げる一方で、潜在的に事業再生の必要性が生じている医療施設は多い。その原因の一つは国の医療施策の転換への対応不足であり、再生にあたってはこの医療施策の理解が第一となる。
事業拡大を視野に東京支社設立
医療事業の再生案件は顕在化しつつあると語る住田弁護士
▲医療事業の再生案件は顕在化しつつあると語る住田弁護士
企業再生コンサルティング会社の株式会社ジーケーパートナーズ(代表パートナー:津田敏夫氏、電話06-6261-2131)は事業拡大のため東京支社をオープンした。もともと同社は近畿圏(大阪本社・京都支社)に事務所を構え、各種企業再生コンサルティングサービスを提供してきたが、さらなる事業拡大を目指し、この9月に東京支社をオープンさせた。東京には各種情報が集積するため、これらの情報収集が今後の事業拡大にとって重要との認識である。

事業拡大の展望は、同社の最大の強みで、最近のトレンドでもある「人材の派遣」にかかっていると津田社長は言う。いわゆる「企業再生ファンド」とは違う、再生コンサルティングを行う同社にはスポンサー(ファンド)や銀行等の債権者から「企業を一時的に保有してほしい」という要望が多く寄せられるが、そうした要望に応えるために経営者(ターンアラウンドマネージャー)を派遣し、出資もする、というのが同社のスタンスである。そのためには経営者として企業再生の陣頭指揮をとることのできるポテンシャルを持った人材を社内に抱える必要があるが、同社は都市銀行及びRCC(株式会社整理回収機構)等で企業再生に携わり、「金融」面でのプロフェッショナルを自負する社員で構成されており、再生対象企業やスポンサーはもちろん、債権者からも信頼を得られる企業再生サービスの展開が可能とのことだ。

同社には、今回の東京支社開設をきっかけにさらなる事業拡大が期待できそうだ。

今回、同社は東京支社オープンを記念し、RCCの元常務執行役員でセンチュリー法律事務所・弁護士住田昌弘氏による「医療施設の再生」をテーマとしたセミナーを開催した。

住田氏が指摘した医療施設を取り巻く現状・課題から、今後増加が見込まれる「病院」再生への展望をレポートする。
約70%の病院が赤字経営
わが国の高齢化は急ピッチで進み、2020年には全人口の27.8%が65歳以上となることが予想されており、医療費は2025年には約70兆円に拡大すると見込まれている(帝国データバンク調査)。これは現在の2.3倍に達する規模である。単純に考えれば医療施設にとって追い風が吹く環境になるといえそうだが、現実には事業再生が必要な医療施設は今後増加することが想定されている。

医療施設を巡る環境には後述する構造的な問題があり、約70%の「病院」が赤字に陥っているとの調査がある。一方、銀行等金融機関、特に地域金融機関が保有する病院向け債権は相当額あるため、病院の事業再生がもう少し顕在化していても不思議ではない状況だが、病院の公共的性質のためよほどのことがない限り金融機関が債権放棄等再生スキームの俎上に乗せることが難しく、潜在的に事業再生を必要としている病院が増えているのである。

しかし2007年に入り2006年の診療報酬体系のマイナス改定等国の施策が病院経営に非常に大きな影響を与え始めており、金融機関としても病院の再生について真剣に検討する状況が生まれている。
国の医療施策にも一因
約100名の事業再生ビジネス担当者が参加。セミナー後の懇親会では積極的な情報交換が行われた。
▲約100名の事業再生ビジネス担当者が参加。セミナー後の懇親会では積極的な情報交換が行われた。
医療施設経営を巡る構造的な問題とは以下のとおりだ。

医療施設は大きく「病院」と「診療所(クリニック)」の二つに分類される。「病院」は20床以上の施設(20人以上の患者が入院可能)を持つ医療施設であるのに対し、「診療所」は19床以下の医療施設を指すが、先述のとおり「病院」の約70%が赤字経営に陥っている模様である。さらにこの「病院」のうち、特に日本で一番多い、200床以下の規模で特色を打ち出していない病院(未分化型病院)に事業再生が必要になっているケースが多い。

病院の倒産要因を見ると、「営業不振」すなわち普通に営業していても収益が向上しないというものが近年増加しているが、こうした事象が生じるのは我が国医療の問題点を解決するための国の施策が原因となっていることが考えられる。

我が国医療の問題点としては、外来受信率の高さ(すぐ病院に行く患者が多い)のほか、人口一人あたりの医師数は少なく、そのために平均在院日数が長い(集中的な治療が難しい)、等があり、これらの是正のために医療法改正を中心とした制度改正がなされている。法改正は上記の問題点解決のために、診療報酬の引き下げや病床数の減少等を目標としているが、医療施設間の競争激化をもたらしただけでなく、国の医療施策にそぐわない医療モデルを提供する医療施設の経営は厳しさを増すこととなったのである。

上記のような、特色を打ち出していない病院(未分化型病院)に事業再生の必要性が高まっているのはそのためだ。
医療モデルの転換がカギ
こうした状況下で経営不振に陥っている病院は、国の求める医療モデルを提供する態勢への転換を図ることが必要となる。具体的には、療養型から在宅医療への転換や療養病床の介護保険適用施設への転換、病院と診療所の連携強化等、各種対策があるが、基本的姿勢は、国の医療施策がどのような方向を向いているのかを嗅ぎ取り、できる限り対応することが重要となる。そして、病院の経営計画を策定するにあたっては、診療報酬精度の現状・将来像を見極めるほか、それに応じた適切な人員配置を検討することが求められる。

「良い医師を増やす」「的確な設備投資」が経営を成功させる大きな条件であると言われているが、それ以前に「どのような医療サービスを提供するのか」を十分に検討することが必要なのだ。

また、新設された社会医療法人への法人形態の移行も検討すべきである。
病院再生スペシャリストが必要
先述のように、医療施設の事業再生が今後増加することが見込まれている。

病院事業には公共性があり、巷間なされているような抜本的な事業再生施策を採ることは不可能であるし、各種規制によりビジネスプランに制約がある。そしてこれまで述べてきたとおり国の医療制度やその変更などについて大きく影響を受ける。病院の事業再生には上記を熟知した対応が必要不可欠となるのだ。

医療問題に専門的な知識・技術を持ったターンアラウンド・スペシャリストへのニーズが今後一層高まると言えよう。